伝統技法と○△

新作コインケース「Eboshi」のご紹介です。

Eboshiは今ではほとんど見られなくなった櫛 (伝統的なものだとつげ櫛)を用いて蛇腹状のマチを作る「櫛マチ技法」を使い、消えゆく伝統技術を上手く現代の形に落とし込んで製作したコインケースです。櫛の隙間一つ一つに濡らした革を入れ込み型を付け、一晩乾かすという工程は手間のかかる作業ですが、先人たちが日常で身近にあった櫛を使って、そこからさらに新たなものを生み出してきたこの技法には、不思議な親近感と魅力があり、ずっと試してみたいと思っていました。今では「バッキバキに型のついた櫛マチに興奮する病」になりました。

本体をコンパクトに仕上げても、蛇腹状に大きくマチが開くのでたくさんのコインを入れることができます。

デザインについて。なんとなくこれまで、曲線的なものはひとつの作品でどのパーツをみても曲線を意識したものが多く、角ばった作品はやはりどのパーツも角を意識しがちでした。Eboshiでは、ただただコインケース、、というシンプルな道具の中で○と△という両極端なものをうまく融合できたことが新鮮で、さらにその新鮮な気持ちと櫛マチへの懐古的リスペクトが同居し言葉では表現できない満足感のあるものができました。

元々は散歩用にコインケースが欲しくて作ったことが始まりですが、ちょっとしたお出かけやサブの財布として、また小物入れとしてもEboshiを使っていただけるとうれしいです。